
日本相撲協会に水引額を寄贈 飯田市の坂井さん










飯田市大瀬木の美術工芸・結の職人頭で水引工芸作家の坂井月大さん(34)が9日、日本相撲協会を訪れ、協会の紋をデザインした水引額を寄贈した。両国国技館に隣接する協会本部で広報部長の九重親方(元横綱・千代の富士)が応じ、思いもよらぬ粋な返礼で坂井さんを感激させた。寄贈したのは、桜と土俵をモチーフにした日本相撲協会の紋をデザインした水引額。「飯田伝統の元結・水引と大相撲を結び、形にしたい」と考えてきた坂井さんの夢だった。
大相撲に元結を出荷している松文(飯田市鼎下茶屋)の伊原広隆専務を通じて協会に申し出を行い、1カ月ほど前から絵師の宮脇賢さん(34)と準備を進めてきた。
金ぱくを塗り込んだ水引を丁寧に細工し、2週間ほどかけて黄金の紋を完成。木曽ヒノキであしらった高さ48・5センチ、横57・5センチの額に入れ、この日、伊原さんらと東京両国の協会本部を訪問した。
「自分たちの世代にとっては、大相撲といえば千代の富士、横綱の中の横綱だった」(坂井さん)。そんな憧れのスターに、大相撲で使われている元結が飯田で製造されていること、水引に寄せる自身の想いなどを説明。目の前で水引の実演もしてPRに努めた。
思いもよらない親方からの返礼は、そんな会話のなかの一言がきっかけになった。
「日本男児は侍。いつ何時も髷(まげ)が結えるようにしていなければならない」(坂井さん)。そのこだわりを、伊原さんが親方に紹介する場面があった。
信念そのままに、長髪姿で訪問した坂井さんの姿を見つめた親方は突然、「本当にその気があるのか」と坂井さんに質問。携帯電話を取り出すと、九重部屋付の床山、床岳さんを呼び出した。
思いもよらぬ返礼は、プロの手による髷づくりのサービスだった。
広報部室の一角に即席の結い場をつくると、職員たちの注目を集めつつ、髷づくりがはじまった。水で濡らして伸ばし、特殊な油を塗りこんで数分。飯田特産の元結で2カ所を結ぶと、10分ほどで髷ができあがった。
九重親方の粋な計らいに坂井さんは大感激。嬉しさの余り、子どものように飛び上がり、親方と並んで写真に納まった。
「飯田の元結水引に対し、親方が心を砕いていただいている結果だと思っている。本当に感謝したい」と坂井さん。その様子を近くで見守った伊原さんは「私たちが製造している元結が目の前で結ばれていく姿に感動した。より良いものを作っていかなければ」と決意を新たにしていた。
写真=九重親方(左)を訪問した坂井さん
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