障害をもつ方が住まい探しをするにあたって、普通の賃貸住宅に申し込んだ場合、断られることが多くて苦労しているのではないしょうか。
障害者差別禁止法が施行されてからは、障害があることを理由に差別的な扱いをしてはならないとされました。
しかし賃貸住宅を貸す側においては、障害があることで近隣住民とのトラブルが起きないか?といったリスクを不安視するため、理解が進んでいないのが現状です。
障害をもつ方にとって住まい探しの幅が広がるよう、障害者向けUR賃貸住宅についてご紹介していきます。
もくじ
UR賃貸における心身障害者の基準
住宅についてご紹介する前に、URにおける心身障害者の概要についてご紹介します。
- 心身障害者手帳の交付を受けており、1級~4級の障害がある方。
- 精神障害者保健福祉手帳において1級か2級に相当する程度の常時介護を要する方。
- 前記②の精神障害の程度に相当する知的障害がある方。
UR賃貸住宅の障害者向け住宅はある?
結論からお伝えするとUR賃貸住宅は、障害者および高齢者の方に向けた安心して暮らせる住宅を提供しています。
高齢者向け特別設備改善住宅
障害者および高齢者向けに、浴室の段差を減らしたり、連絡通報用装置を設置したりした賃貸住宅です。
他にも台所のコンロ台を使いやすい高さに調整したり、浴室と洗い場の段差を減らしたりしており、障害者にも高齢者にも嬉しい改良が施されています。
申込み条件としては、満60歳以上の高齢者か障害者の方で、URが定めている基準月収以上の申込み本人の収入があれば最低限の入居審査を通過できるでしょう。
収入額に関する入居条件は後ほど記載の「障害者向けUR賃貸住宅の入居条件とは?」で説明していきます。
障害者向けUR賃貸住宅の入居条件とは?
UR賃貸住宅に入居するには、下記の5つの条件をすべて満たす必要があります。
- 申込者本人の平均した月収額が、URの定めている基準月収以上ある方
- 日本国籍の方、またはURが定める資格を取得している外国人の方で、継続して居住するための住まいを必要としている方
- 単身者もしくは現に同居しているか、または同居しようとする親族がいる方
- URが定める入居開始可能日から1ヶ月以内に、申込者本人を含めた同居世帯全員が入居できること
- 申込者または同居人が反社会的勢力に該当しないこと
上記の内容にあてはまる必要がありますが、①のURが定めた基準月収以上ない場合でも、その他2つの制度利用で①の条件をクリアすることができます。
一時払い制度
簡単に説明すると、最低1年分の家賃を前払いすることで、基準月収以上ない方でも入居できる制度です。
前払いした場合、途中で転勤やトラブルなどをきっかけに引っ越したら払ったお金が戻ってこないのではと不安になりますが、前払いしたお金は手元にかえってきます。
原則として途中解約はできないのですが、やむを得ない理由がある場合は残りの前払い家賃は返金されて解約ができるのですね。
一時払い制度について詳しくご紹介していきます。
- 一時払い期間
入居開始予定日の属する月の翌月から、最低1年最長10年のうち1年単位で選ぶことができます。一時払い制度を利用する際は、現金か振り込みになります。
例)8月1日から家賃3万円の物件に入居する場合は、9月から1年間の合計36万円の家賃を前払いするか、10年間の合計360万円の家賃を前払いするか選べます。
実際には上記金額にプラスして敷金や共益費もかかります。
- 家賃の割引が受けられます
一時払いの期間の長さに応じて、URが定める割引率による家賃の割引が受けられます。 - 契約書
お住まいになる賃貸契約書以外に家賃等の一時払いの契約も締結する必要があります。
一時払い対象の期間が終了した後は、口座振り替えで月々お支払いをするか、再度家賃の一時払いをするかを選ぶことができますよ。
貯蓄基準制度
入居希望物件の家賃の100倍の貯金があれば、入居できます。家賃3万円であれば300万円の貯金があれば、基準月収以上なくても入居できるのです。
この制度は無職の方でも利用できるので、障害をもっていて月々安定した収入はないけど、貯蓄があるといった方にオススメの制度になっています。
また、貯蓄基準制度ではURに提出する書類が極端に少ないことも魅力です。
- 預金残高証明
発行から7日以内のものです - 本人確認書類
- 印鑑
- 住民票
入居者全員分です - 家賃2ヶ月分の保証金
以上が、貯金基準制度で必要な書類になります。
契約者1人で家賃の100倍の貯金が準備できない場合には、契約者本人と同居しない親族とで50倍ずつ負担する方法も認められています。この方法は「家賃補給制度」といって、表上は契約者本人に請求がいくのですが、実質別居の親族に半分負担してもらえるため、自己負担を軽減することが可能です。
家賃補給制度について、「障害者向けの割引や家賃補助はある?」で紹介していきます。
障害者向けの割引や家賃補助はある?
家賃補給制度
申込み金額が不足した場合は、別居している親族の貯蓄を追加して家賃補給制度を受けることができます。UR賃貸はよくお金ない人が住むところというイメージを持たれがちですが、実のところ一定以上の収入を求められるので、家賃補給制度を積極的に利用しましょう。
利用の際は、別途書類が必要になります。
- 家賃補給証明書
- 印鑑証明書
- 家族関係がわかる住民票(発行から3か月以内のもの)
- 本人確認書類
- 収入を証明できる源泉徴収票と課税証明書
家賃改定特別措置
賃貸物件に関係する借地借家法において、賃料の増減について規定があります。
土地や建物に対する税金が上がり、経済事情の変動によって、周辺住宅と家賃を比較して不相当と判断したときは、契約の条件にかかわらず家賃の増減を請求できると定められています。
ただし、URは家賃が引き上げされる物件のうち、居住の安定に配慮が必要と判断される低所得の高齢者世帯や子育て世帯、心身障害者世帯は、該当しないと定めています。
そのため、急激な家賃の上昇はありませんので、長く安定して暮らせますね。
障害者が賃貸物件を選ぶ際にチェックすべきポイント
障害をもつ方が賃貸物件に住む場合、足腰が悪く杖を使用する方や、車いす移動の方は、階段や段差の少ない建物の造りや、室内についても安全に過ごせるよう注意を払う必要があります。
しかし、障害をもっていることで通常の賃貸物件の審査に落ちてしまったり、物件の契約ができたとしても、段差だらけの築古物件だったりして、なかなかこれだと思える住まいには出会えないのではないでしょうか。
UR賃貸物件には、障害をもつ方でも住めるような設備に改良された住宅や、入居審査に通過しやすい制度も用意されています。
最後に、UR賃貸物件の中でも特にチェックしておくと安心なポイントをご紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
- 手すりがついているか
障害をもつ方にとって、手すりの有無は重要なチェックポイントです。
通常の賃貸物件の場合、高齢者や障害者が住むことを前提としていないため、手すりのついていない物件がほとんどです。
UR賃貸物件であれば、手すりが常設された高齢者向け特別設備改善住宅と物件があるので安心ですね。
- キッチンは使いやすい高さかどうか
障害をもつ方だと通常の賃貸物件のキッチンの位置が高く感じることがあります。
URの高齢者向け特別設備改善住宅では、キッチンのコンロ台の高さも調整されているので、実際にご自身で高さを確認しておくと安心です。
キッチンの高さが合っていれば、毎日の家事も楽になりますよ。 - 周辺環境
周辺の治安が悪かったり、すぐ隣が建物だったりするよりは近くに自然が広がっている方が嬉しいですよね。
URの賃貸物件は敷地内に公園があり、グリーンマネージャーと呼ばれる樹木や雑草を綺麗に整えてくれる方がいるくらい自然豊かな環境に位置しています。
わざわざ遠くまで足を運ぶ必要なく、気分転換できるのは魅力的です。
その他にも下記のポイントをチェックしておくと快適な住まい探しができるでしょう。
- 移動に無理のない階数かどうか
- 入口から玄関まで段差がどのくらいあるか
- 車イスが入るか通るか
- 浴室や洗い場、トイレに十分な広さがあるか
まとめ
今回は、UR賃貸の障害者向け住宅や制度について、ご紹介しました。
障害をお持ちだと、それだけで住まい探しのハードルは上がってしまいますよね。
URでは、障害をもつ方にも優しい制度や住宅があるので、なかなか見つからないという方は、URの物件を検討してみてください。
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