- URの建て替えっていつあるの?
- 建て替えの際に立ち退き料ってもらえるの?
- これから引っ越しするんだけど、トラブルってどんなことがあるの?
UR賃貸にお住まい、またはこれから住もうと検討している方の中で、このような悩みを持つ方に向けて情報をまとめました。
もくじ
UR賃貸の建て替えとは?
URは、老朽化した住棟を解体し、その跡地に新たに賃貸住宅を建てることを「建替事業」と呼んでいます。
建て替えの概要を知ることで、実際に建て替えになると分かった時も想像しやすいでしょう。
建て替えの種類
①全面建て替え
団地の全住棟を一気に建て替える方法を「全面建て替え」と呼びます。
この場合、別のUR賃貸や一般賃貸に引っ越す必要があります。
例:浜見平団地
②一部建て替え
全面建て替えのように全てを建て替えず、ある一部の範囲の住棟を建替える方法を
「一部建て替え」と呼びます。
この場合、建て替えない別の住棟に引っ越すことが可能です。
例:花畑団地
③近接地建て替え
同一生活圏団地への移転を前提とした建て替えです。
この場合、新築のUR賃貸となるため、家賃などに影響が発生します。
なお、2015年7月の法改正によりこの方法が可能になった。
例:東中神団地(第1号の案件)
前例のある建て替え方法は?
東京都足立区にある花畑団地のように、「一部建て替え」を採用しています。
建て替え対象の住棟の住居者は別の住棟や別のUR賃貸に引っ越し、跡地に商業施設や新規賃貸住宅を建設することで住環境の向上を計画しているようです。
建て替え対象は築年数何年くらいが目安?
実際に住む前でも住んでいる状態でも、URショップなどに建て替え予定を尋ねると建て替えの予定があるか回答してくれます。
建物がどのくらいで建て替える可能性があるのかを把握していると、心の準備にもなるでしょう。
建て替え時期の目安
URは建設から40〜50年経過したUR賃貸住宅を建て替え対象としています。
しかし、築年数だけでなく、別の要素も建て替え計画に影響して来るので次の項目をご覧ください。
築年数だけでは無い?建て替え計画に影響する2つの要素
URは築年数以外に以下の要素も建て替え計画に影響すると公表しています。
【耐用年数】
URは建物の耐用年数を70年としています。
耐用年数までは建て替えないなんてことも十分あり得ます。
さらに、今後は修繕方法の改善し、70年よりも長期的に建て替えずに継続利用する計画もあります。
【収益率】
上記の耐用年数に加え、収益率が高いUR賃貸住宅に関しては耐用年数である70年間まで継続利用する計画です。
築年数が経っていても居住者が多い場合、収益率が高くなるためなかなか建替え無い傾向にあるのが現状です。
全国の前例紹介
大阪府吹田市 千里山団地:着手まで51年 1957年入居開始 2008年着手
東京都昭島市 東中神団地:着手まで54年 1967年入居開始 2021年着手
建て替える際に通知があるのは何ヶ月前?
実際に建て替えの計画が出てから住民への案内がどれくらいのスピード感なのかをお伝えいたします。
建替えに関する通知時期は建て替えに限らず、契約の更新をしない場合、1年〜6ヶ月前までに入居者へ伝える必要があります。(借地借家法)
実際に計画が固まってから第1回目の説明会までのスピード感は以下の通りです。
- 花畑団地 :協議会発足から住民への説明会まで4ヶ月。
- 千里山団地:1990年ごろには老朽化の問題が持ち出され、2005年に市民も含めた懇談会が発足。
退去する際の退去費用はもらえるの?
建替えに伴う退去費用は請求が可能です。
実際にはどのくらいもらえるのかを確認しておきましょう。
退去費用とは
貸主が借主に対して支払う補償金のようなものです。
今回のような建て替えの際は、契約期間の更新ができないため、退去費用を支払うことで借主に別のUR賃貸に引っ越してもらうことが目的となっています。
退去費用の内訳
一般的な退去費用の内訳は以下の通りです。
- 引っ越し費用
- 新居の敷金や礼金
- 不動産会社の仲介手数料
- インターネット回線の移転費用 など
退去費用の目安
退去費用について決まった法律はありませんが、一般的な退去費用は家賃の6ヶ月以上が目安となっているようです。
また、支払いタイミングは明け渡し日が一般的ですが、費用の自己負担が一時的に発生してしまうため、交渉する必要がある方もいるでしょう。
引越し先の家賃が増えたら自己負担なの?
もし引っ越し先の家賃が今までの家賃より高額になった場合、家賃の負担は基本的に自己負担となっていますが、のちに説明する減額制度を利用することで、少しではありますが負担の増加を抑えることができます。
引っ越し先の家賃が増えた場合の減額制度紹介
減額制度には「一般減額」と「特別減額」の2種類が存在します。
URの建て替え事業によって「同一の団地内」か「別のUR賃貸」に引越しをされた方、もしくは「建て替え後の住居」に引越しをされた方が対象で、引っ越し先の団地の家賃を5〜10年間減額してもらえるのが「一般減額」です。
一般減額でも受け取り期間は2種類あります。
「同一の団地内」か「別のUR賃貸」に引っ越しされた方は以下の通りで、減額限度額はどちらも最大120万円です。
- 引っ越し先の家賃20%分の減額を10年間受ける(月当たりの限度額は1万円)
- 引っ越し先の家賃40%分の減額を5年間受ける(月当たりの限度額は2万円)
「建て替え後の住居」に引っ越しをされた方は以下の通りで、減額金額は10年間で240万円です。
- 引っ越し先の家賃20%分の減額を減額10年間受け取る(月当たりの限度額は2万円)
※11年目から5年間は徐々に本来の家賃に戻っていきます。
また、「世帯全員の合計所得(月額)が25.9万円以下」であり、「高齢者世帯 / 母子・父子世帯 / 子育て世帯 / 障害者世帯 / 生活保護世帯」の場合は「特別減額」の対象になり、引っ越し前の家賃がそのまま据え置きとなる減額を受けられます。
「特別減額」は該当する限りいつまでも適用可能ですが、以下の条件がありますのでご注意ください。
- 特別減額の月当たりの限度額は3.5万円まで。
- 年に1回の所得審査に合格すること。
「特別減額」の対象世帯は?
引っ越し時に以下のどれかに該当することで、「特別減額」を受けられます。
【高齢者世帯】
世帯の中で最も収入の多い方の年齢が、「着手時点で満55歳以上」「特別減額の適用を受けようとする時点で満65歳以上」である世帯が対象です。
【母子・父子世帯】
世帯の中で最も収入が多い方が配偶者がおらず、満20歳未満の子を扶養している世帯が対象です。
【子育て世帯】
同居している満18歳未満の子を扶養している世帯が対象です。
こちらに関しては子供だけでなく、孫や甥・姪、移転時に妊娠していても対象となります。
【障がい者世帯】
「契約している方」か「同居する親族」の中に次に該当する方がいる世帯が対象です。
- 身体障害者手帳に記載されてい障がいの程度が1~4級の方
- 精神障害者保健福祉手帳の1級又は2級に相当する程度の精神障がい者または知的障害者の方
【生活保護世帯】
生活保護を受けている世帯が対象です。
退去時のトラブル事例3選
これまで立ち退きに関する情報をお伝えしてきましたが、実際にあったトラブルをご紹介します。
立ち退き料に納得できない
貸主側は立ち退き料の金額トラブルを防止するため、あらかじめ家賃6ヶ月分の金額を提示することが多いのですが、実際に引っ越しなどで思ったより金額がかかってしまい、納得できないケースが発生することが考えられます。
引っ越し先が見つからない
引っ越し先は基本的にURからの斡旋がありますが、階数や位置などの自由度が低く、最悪の場合別の団地への退去を余儀なくされます。
引っ越し業者が見つからない
多くの住民が引っ越しの準備を始めるため、引っ越し業者の予約が取れない状態が発生します。
自分で引っ越し作業を行うことにもなりかねません。
退去時トラブルを防ぐ方法
立ち退き料を満足できる金額もらう交渉
立ち退き料をもらうための交渉をする際のチェックするポイントは以下の通りです。
- 立ち退き料はいくらですか?
- 最後の更新時期はいつですか?
- 受け取るタイミングはいつですか?
- 建て替えによる引っ越しで経済的損失がどのくらいありますか?
- 自分の経済状況を説明できますか?
引っ越し先・引っ越し業者が見つからない
共通するポイントとして、立ち退きが分かったら自分が思っているタイミングより早く行動することが大切です。
まとめ
ご覧いただき、いかがだったでしょうか?
立ち退きの経験はほとんどの方がありません。
立ち退きに関する事前情報があるのと無いのでは、対応も変わってきます。
もし建て替えの話題がでたら、ぜひ今回の内容を思い出してください。
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