一般の賃貸物件の家賃は、給料の1/3以内が審査基準であるといわれていますが、実際には不動産会社や貸主によってまちまちです。
UR賃貸はどういう基準なのでしょうか?
UR賃貸では、入居するための資格に収入の明確な基準が公開されています。
では、その基準に満たさない・収入が足りない場合は、絶対に借りられないのでしょうか?
UR賃貸では基準に満たなくても、入居可能な方法があります。
今回はその方法について解説していきます。
入居するのに収入制限がある?
URの賃貸住宅の入居申し込み資格には、次のような条件があります。
- 申込者本人の平均月収額が基準月収額以上ある方
- 日本国籍の方、またはURが定める資格を持つ外国籍の方で、継続して自ら居住するための住宅を必要とする方
- 単身者もしくは現に同居し、または同居しようとする親族のある方
- 申込者本人を含めた同居世帯全員が、URが定める入居開始可能日から1か月以内に入居でき、物件内で円満な共同生活を営むことができる方
- 申込者本人を含めた同居世帯全員が暴力団員などではない方
この内、収入に関する条件は1になります。平均月収額は過去1年間の年収を12で割ったものになります。この場合の年収はボーナス込みの税引き前の総支給額です。
では、基準月収額とはどのようなものなのでしょうか?以下のような基準があります。
・世帯で申し込んだ場合
家賃額 基準月収額 82,500円未満 家賃の4倍 *家賃が6万円なら24万円 82,500円以上20万円未満 33万円(固定額) 20万以上 40万円(固定額)
・単身者で申し込んだ場合
家賃額 基準月収額 62,500円未満 家賃の4倍 *家賃5万円なら20万円 62,500円以上20万未満 25万円(固定額) 20万円以上 40万円(固定額)
単身者と世帯で金額が違いますが、低価格帯で家賃の4倍、それ以上は価格帯によって固定された額になっています。
UR賃貸では値引き交渉などは対応していませんので、上記の額に満たなければ、審査に通らないという事になります。
では、入居をあきらめるしかないのでしょうか。実はUR賃貸では他にも審査方法があります。
次章で解説していきます。
UR賃貸で収入が足りない場合の審査方法
平均月収額が基準月収額に満たなくても、利用できる制度や特例がありますので、ご紹介します。
家賃一時払い制度
この制度は、一年単位で家賃(共益費含む)の前払いをすれば、その期間は入居できるというものです。
初期費用(敷金2ヶ月、日割り家賃、日割り共益費)+ 年間家賃(共益費込み)の金額が必要になります。
期間終了時に月払いや、年間単位での一払いを選択することで、そのまま住み続けることが可能です。
基準貯蓄額による審査
申し込みをした本人の貯蓄額が、家賃の100倍以上あれば、収入審査が免除されます。
5万円の家賃なら、100倍の500万円ということですね。
なお、貯蓄額は、金融機関の合計額です。
収入基準の特例
申込者の月収、貯蓄が足りなくても、一定の条件が満たされれば申し込みができる特例です。
こちらの制度を利用する場合は直近の金融機関口座の写しが必要となります。
事前に準備しておくことでスムーズに進めることが可能となります。
◉申込者の平均月収が基準月収額の1/2以上ある場合
- 同居親族の収入と合算して、合計額が基準月収額以上になる
- 同居を伴わない親族(月収額に基準あり)から申込者の月額支払家賃不足分の補給を受けられること
- 勤務先から申込者の月額支払家賃不足分の補給を受けられること
- 申込者本人の貯蓄額が基準貯蓄額の1/2以上あること
◉申込者本人の平均貯蓄額が基準貯蓄額の1/2以上ある場合
- 同居親族の貯蓄と合算して、合計額が基準貯蓄額以上である
- 同居を伴わない親族からの、貯蓄の補給額を合算して、合計額が基準貯蓄額以上である
- 申込者本人の平均月収額が基準月収額の1/2以上あること
また、申込者の平均月収額や貯蓄額が基準額の1/2に満たない場合でも、高齢者・障がい者・父子母子家庭・満18歳未満の方は申し込みが可能です。(諸条件あり)
親族からの援助や、勤務先からの補給でも申し込みができますし、自身だけでも収入と貯蓄とも1/2以上あればOKです。
想定してみた!対処法3つのケース
ここでは、どういったケースが考えられるかいくつか想定しました。参考にしてください。
ケースその1:起業したてのフリーランス(貯金200万円あり)
- 30代で起業を決心した独身男性。
- 今までは会社の寮住まいだったので、賃貸の物件を探している。
- 一般の賃貸物件はフリーランスになったばかりで、収入を証明するのが難しいのでURの賃貸を検討
男性が気に入った物件は家賃59,100円、共益費3,700円の2DKのお部屋でした。
入居の申し込みに家賃一時払い制度を利用する事にした場合次のような計算になります。
敷金2ヶ月分118,200円 + 前払い家賃(1年間)709,200円 + 前払い共益費(1年間)44,400円 =871,800円 + 日割り家賃と日割り共益費
男性は貯金が200万円ありますので、家賃一時払い制度を使えば入居することが可能です。
ケースその2:就職活動中の無職(貯金700万円)
- 体調を崩し、長年勤めていた会社を退職した男性
- 住んでいたアパートが取り壊しのため退去しなくてはならない
- 転職先を探しているが、まだ決まっていない
男性が見つけた物件は、 URの賃貸物件でした。家賃69,800円、共益費4,000円の1DKのお部屋です。
収入がないので、基準貯蓄額による審査を利用する事にしました。このケースの場合の必要な貯金額は次の通りです。
家賃69,800円の100倍の貯金額 = 698,000円
男性は700万円の貯蓄がありますので、基準貯蓄額の条件を満たしています。
ケースその3:URでお気に入りの部屋見つけた会社員(貯蓄なし)
- そろそろ寮から出て一人暮らしをしたい女性
- 月収が見つけた物件の基準に満たない(1/2以上はある)
- 足りない分は親がお金を出してもいいと言っている
この女性が見つけたURの賃貸物件は、家賃49,700円、共益費3,300円の2DKのお部屋でした。
この物件に入居するために必要な月収額は次の通りです。
◯単身者で家賃が62,500円未満:基準月収額 = 家賃の4倍
基準月収額 = 49,700円の4倍 = 198,800円
女性の収入では基準額に達していませんが、半分以上はあるので、不足分を同居していない親族から補給する、収入基準の特例で申し込みができます。
UR賃貸は審査の基準が明確
一般の賃貸物件では、同じ条件のフリーランスでも、貸主の基準によって判断されるため、審査の基準が分かりにくく物件探しが難しいとされています。
その点、URの賃貸物件は上記したような明確な審査基準があります。特に必要な収入に関しては条件が詳細に設定されているので、申し込みも検討しやすいですね。
ちなみに、UR賃貸は初期費用も明確に分かります。
どの物件も敷金2ヶ月分 + 日割り家賃(日割り共益費)のみ。仲介手数料も不要です。
初期費用や、審査に必要な金額・基準が事前にはっきりとわかるというのがUR賃貸の利点ですね。
まとめ
収入が足りない場合の、UR賃貸の審査基準について解説してきました。
基準月収額に満たなくても、さまざまな制度や特例を利用することができます。
今回、想定したケースだけでなく、他にも条件を活用する方法もありますので、収入が足りなくてあきらめている方は不動産屋さんに相談してみてください。
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