昨今、新型コロナウイルスの影響もあって、多様な働き方が浸透してきていますね。
そんな中でも「ワーケーション(Workation)」という働き方に注目が集まっているとご存知でしょうか?
「在宅ワーク」や「リモートワーク」、「テレワーク」等々の聞きなれない言葉が当たり前のようにテレビや新聞で使われるようになり、様々な働き方が見直されています。
不動産業界でも、リモート内見やVR内見などが普及しつつありますので、ワーケーションもいつか一般的になる時代がやってくるかもしれません。
今回は、ワーケーションの意味や、メリット・デメリット、アメリカを含めた海外の事例などをご紹介します。
ワーケーション(Workation)とは?意味は?
ワーケーションとは、「ワーク(work):仕事」と「バケーション(vacation):休暇」を組み合わせた造語になります。
イギリスでは、「ワーコリデイ(Workoliday)」や「ウォリデイ(Woliday)」とも呼ばれることもあります。
意味としては、オフィスから離れた所で休暇を取りつつも仕事を行うことにより、余暇と生産的な仕事を行うといったことを示していますが、公式に言葉の定義が決まっていないみたいです。
例として、リゾート地に家族で訪れて家族がプールに行っている間に、父はワーケーションという働き方を活用して、ホテルからリモートで会議に1~2時間出席したりするような働き方をイメージして頂ければ分かりやすいのではないでしょうか。
それだと、有給を消化して旅行している時に会議や資料作成等を間に入れたくないと考えちゃいますよね。
しかし、ワーケーションというのは勤務時間中に休暇を取るという考え方ですので、基本的に勤務時間を使用して休暇を取る事ができるのです。
もしかすると、「今週は上司が1週間ハワイに家族でワーケーションに行ってるから、リモート会議の招集かけないとな」というような会話が普通になる未来がくるかもしれません。
ワーケーションのメリットとデメリット
アメリカやヨーロッパを中心にワーケーションという働き方が普及しておりますが、日本ではこれから推進する企業も多く、情報が少ないです。
そこで海外の企業や個人が感じているワーケーションのメリットとデメリットを海外のコラム記事やコメントを抜粋して要約して、ご紹介していきたいと思います。
ワーケーションのメリット
ワーケーションのメリットをご紹介しますが、メリットである反面デメリットとなっている点もあります。
あくまで海外の感想や意見を踏まえて私の個人的な感想も踏まえて
新しく創造的なアイデアが生まれやすい
これは新しいアイデアや発想を大事とする仕事の方は共感できるかもしれません。
また、エンジニアなどパソコンの前でプログラミングをずっと行うような仕事の方でも共感できると思います。
仕事をずっとオフィスで行っていても、行き詰ってしまうことってありますよね。
そこでワーケーションを利用して、国内・海外の新しい土地で新しい人との交流や刺激を受けることによって、新たな考え方や発想の転換ができたりできる方も多いようです。
オフィスの外に出れば、オフィスの中でこれが常識だと思っていた枠から飛び出たアイデアが生まれることがあるという意見が多くあります。
日本でも、オフィスワーカーからすると共感できそうな意見ですね。
ルーティンに固執しなくなる
毎日出社したらやること、自分のデスクでやること、PCの電源を入れたらやることなど、人は同じ仕事を毎日行っているとルーティン化していきます。
ルーティン化する目的は、楽に円滑に仕事を進めるためです。
しかし、ワーケーションを取り入れると柔軟にスケジュールを組んだり、新しい環境で仕事スペースを確保したりと、ルーティンに固執せず柔軟に仕事を行う必要性がでてきます。
仕事をルーティン化することが決して悪いことではないですが、環境や時間に合わせて柔軟に対応していくことによって、ルーティンから捉われず効率よく仕事を行う方法に気付きを得た人も多いようです。
また、ルーティンに関係なく睡眠や休憩を挟みながら仕事を行うことによって、オンオフの切替えもしやすくなるとのことです。
精神的な疲労が軽減される
海外では、意見として少なかったのですが、日本では出社しなくて良いとなると精神的に楽に感じる人も多いのではないでしょうか
満員電車や駅の混雑、エレベーターに長蛇の列に時間を取られて、出社することにストレスを感じてる人が多いのは事実です。
自分の好きな旅先で目覚めて、少し準備をしたら切り替えて会議や打合せに出席できるとなると、理想的な働き方だと思える方も多いと思います。
また、オフィスの雰囲気にもよると思いますが、暗いオフィスがどうも苦手でストレスとして感じられている方も多いと聞きますので、精神的衛生上も良い効果が期待されるでしょう。
ワーケーションのデメリット
続いて、ワーケーションのデメリットや注意点について海外のコメントをご紹介します。
旅先が仕事に良い環境でない
ワーケーションはリゾート地のホテルを含めて、旅先で仕事ができることが前提となっております。
しかし、海外ではインターネットが不安定な地域や、電話が不安定な地域があります。
また、コピー機やFAXが必要な仕事であった場合は、そういったオフィス機器がない場所にいることによって仕事が進まなくなるといったデメリットがあります。
旅先が仕事を行うための環境が整っているのか、仕事を行うワークスペースが確保できる場所なのかは事前に確認する必要があります。
もしかすると、旅行サイトには記載されていないような情報もあるかもしれませんので、事前にホテルや旅館等に相談の電話を入れておくことをオススメします。
チームビルディングが難しい
これはワーケーションだけでなくリモートワークにも共通する課題かもしれませんが、チームで仕事を行う際に各々が違う場所で仕事を行っていることにより情報連携や軌道修正が難しくなってしまうことが多いようです。
監督する側のリーダーがいない場所でチームメンバーが各々で仕事を行うことによって、チームビルディングが難しくなってしまうのでしょう。
特に日本では、チームや従業員の士気を上げるためにコミュニケーションを重要とするため、ある程度チームとして形が出来上がっていない段階でワーケーションを導入するのは困難になるかもしれません。
ワーケーションを導入する海外の企業
GOhiringの事例
ベルリンのベンチャー企業であるGOhiringは、100%リモートワークの企業です。
しかし、毎日全員が異なる場所にいるのではなく、すべての従業員が家族のニーズや状況に合わせて、どこから仕事をするか選択できるということになっていますので、チームで集まることもあります。
チームのメンバーはフランスやポルトガルなど、年間を通して世界中の拠点から仕事に参加するようになっております。
創設者がGOhiringの成功要因として、「チームがどこに向かっていて、何に向かっているか常に同期する仕組みが必要」と話しており、同社はオンライン上でチームの情報を共有するためにSlack、Trello、Googleハングアウトなどの複数のツールを活用しています。
引用元:https://workation.works/2020/01/25/how-workations-help-gohiring-embrace-a-remote-culture/
MailerLiteの事例
MailerLiteのワーケーションは、日本でいう社員旅行のような形が一番近いでしょう。
会社のメンバー全員で2週間バリ島に行って、普段会うことが困難なリモートワーカーも含めて全員で交流や情報共有を行うような機会を設けています。
普段リモートで会わないメンバーも含めて全員で新しい体験を行ったり、夢を共有したり、話をすることによって信頼を築くようにしています。
引用元:https://www.mailerlite.com/blog/why-workation-is-the-best-way-to-motivate-your-team/
日本でワーケーションを推進する企業
JALや和歌山県がワーケーションをいち早く導入した企業として有名ですが、日本では「ワーケーション自治体協議会(WAJ)」が2019年11月に発足しております。
以下の自治体(1道6県58市町村)がワーケーションを積極的に活用していくと表明しております。
- 北海道
- 群馬県
- 長野県
- 和歌山県
- 鳥取県
- 広島県
- 長崎県
- 北海道北見市、富良野市、ニセコ町、俱知安町、中頓別町、斜里町
- 岩手県八幡平市
- 秋田県湯沢市、にかほ市
- 埼玉県横瀬町
- 神奈川県鎌倉市、逗子市
- 新潟県妙高市、糸魚川市
- 石川県小松市
- 福井県福井市
- 山梨県甲州市
- 長野県長野市、松本市、上田市、諏訪市、小諸市、伊那市、駒ヶ根市、中野市、飯山市、茅野
- 市、塩尻市、佐久市、千曲市、軽井沢町、立科町、下諏訪町、富士見町、山ノ内町、信濃町、原村、白馬村
- 静岡県静岡市、下田市、南伊豆町、
- 三重県志摩市
- 京都府舞鶴市
- 兵庫県新温泉町
- 和歌山県和歌山市、田辺市、紀の川市、印南町、白浜町、那智勝浦町、串本町
- 広島県呉市、福山市
- 長崎県五島市
- 鹿児島県錦江町、徳之島町、伊仙町
- 沖縄県名護市
これからワーケーションが浸透すると
今まで、休暇中に仕事の電話があったり、休暇中にも呼び出されることがあるのが日本の企業としては稀にある話でした。
しかし、仕事中に休暇を取るという考え方が在宅ワークやリモートワークなどの普及により浸透していきました。
今後の課題はまだまだ考えられると思いますが、仕事中に旅先に赴き、仕事も休暇も行うワーケーションという働き方が普及していくと面白いと思いました。
新型コロナウイルスの影響で、海外からの観光客減少に悩むホテルや旅館などもワーケーションに特化した宿泊プランやお部屋を用意するようになってくるかもしれませんね。
また、「ブリージャー」や「バンライフ」・「アドレスホッパー」等々の面白い働き方も出てきておりますので、新しい働き方の人達が家を借りる時の目的や条件が変わると思いますので、そういった方々にも良いお部屋をご紹介できるように不動産屋としても勉強していこうと思います。
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